クリスマス
無人のブランコが揺れる
温かくても冷たくても
風はいつもものを動かそうとする
ジャングルジムの天辺に登れた人が
みんなから尊敬されていた時もあった
そんなに昔のことではないけれど
非衛生的だ、という理由で
夏休みが始まる前に砂場は撤去された
反対していた人たちも今は何も言わない
忘れる、ということだって
人にとっては大切な仕事だから
洋菓子店のケーキの箱を
宝物のようにしっかりと抱えて
女の子が母親の後ろをついて歩く
木や家の壁に飾られた電球たちも
昼は束の間のお休み
その奥では収穫されないままの柚子が
風にまだ耐えている