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探されウォーリー

ウォーリーは探されなければならなかった
探されるためには
行方をくらまさなればならなかった
行方をくらますためには
いつも同じ服装をしなければならなかった
その服装が決めたものなのか
決められたものなのか
ウォーリーには見当もつかなかった
ただ探されることは
探すことよりも難しい気がした
探されるからには誰も傷つけることなく
探されなければならなかった
そこに争いがあってはならなかった
憎しみがあってはならなかった
もっともウォーリーは
一度も探したことなどなかった
気がつけばいつも探されている
それは呼吸のように
あたりまえのことであったが
ウォーリーには呼吸というものの
正体がわからなかった
そもそも紙のように広がる街並みの中に
空気があるのかすらも疑わしかった
空気があるのかすらも疑わしい人と
人との間に
今日もウォーリーは行方をくらまし
探されるための痕跡を残す
作り物のような原色の花が
咲いてなびいている
ウォーリー、たとえ空気がなくても
それは風と呼ばれるものだ


23/11/22 07:02更新 / たけだたもつ



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