ポエム
[TOP]
誕生日


ひし形の歪んだ街に産まれて
時々、綿菓子の匂いを嗅いで育った

弱視だった母は
右手の生命線をなぞっている間に
左耳から発車する列車に
乗り遅れてしまった

毎日、どこかで花が咲き
毎日、どこかで花は枯れた
それは意味であり
意味であることに意味はなかった

みんな年をとった
話をしたことのある人が
一人、また一人と息を引き取った
それなのに人は
名前も持たずに産まれた

23/11/18 07:16更新 / たけだたもつ



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c