ポエム
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海の伝言


初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに





栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは





夕日のあたたかいところに
古いネジが落ちています
いつか機械からはぐれて





六月の日よけに懐かしい
あなたの手が触れていました
ひとつのことのように





草行きのバスに乗ります
生きている魚にも
瞼をつけてあげたかった 





掌に残る水温の痕
大きな船で発ちます
音にもなれずに





ゆっくりと通過していくのは
海の内緒話でしょうか
柔らかな雲のお墓へと


23/11/15 07:01更新 / たけだたもつ



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