愛おしい
あなたを音にする
わたしも音になる
狭いけれど
小さく響き合う
梨の実のように
透きとおった瞼に
指先で触れてみる
それだけでもう
抱きしめている
古い通り
澄んだ廃屋
団地を吹き抜ける
風の結び目
すべては雫
あなたと一緒に知っている
いくつかのこと
どうでもよいくらいに
わたしたちの大切なもの
汗ばんだあなたの皮膚で
目覚める朝がある
体温と湿度で満たされていく
とてもありふれて
愛おしいけれど
思いはいつも
わたしの皮膚のところで
行き止まりになる
23/10/29 07:11更新 / たけだたもつ