夏の場面
子供たちが整列をしていた
何をしているのだろう、とよく見ると
整列をしていた
身体の隅々にまでしみわたる雲のように
なだらかで滑らかだった
透明な水を植物にあげて
話すことなどもう残っていないのに
スクリーンには音声がないままの
汗ばんだ映画が映しだされる
先ほどの子供たちはすでに
映画の中に出演していて、よく見ると
整列をしていた
鶴を折るのが下手なので
練習すべきかどうか迷っているうちに
数年が過ぎた
その間に子供たちは
整列するのに必要な肩幅を
少しずつふわりとさせていった
昨日始まった夏が
明日には終わってしまうかもしれない
一番端っこに並び
隣の子からもらった折り紙で
また一から鶴を折り始める
台があれば良かったのに
映画はいつまでも
夏の場面を往復している