ポエム
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ほねのゆりかご
大人が憎い。僕はいつまでも子供でいたかった。いつまでもこのままで、夏には蝉を捕まえて、冬には雪だるまをつくろう。そう言って僕は友人を失った。みんな大人になってしまった。

「大人になるって事は、アイスの蓋を舐めないってことだよ」

茶こけた廃工場の鉄臭いバルコニーの隅で君が呟いた。僕はそれと、大人はマジックテープの靴なんて履かないな、と言った。ぬるい風がボロボロの壁の隙間から吹き抜けて、眼下の街に中指を立てた。

大人になるってことは、大人であるという事は、きっとそういうことなんだと今になって思う。大人はいつも虎視眈々と未来を見すえて、アガリを決め込んでる。保守的に、つまり先見の明をもって今を見ようとしない。僕はそれが許せなかったし憎かった。だから僕は時勢に対し、未来に対し蒙昧的であろうとした。そしていつの間にか、僕の味方は誰一人居なくなってしまった。
22/04/26 21:36更新 / 阿呆



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