ポエム
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話がしたい
友が言った。
「俺は自殺するやつに自殺するなとは言えない」と。
友は続けて言った。
「でも俺が自殺できない理由はある」と。


結局個人的な問題なんだ。命は。
「あなたの命はあなただけの命じゃない」
とか
「あなたは生かされてるの。そのことに気づきなさい」
とか。
それも誰かの事情の押し付けだ。

「生きてたら生きててよかったと思うくらいのいいことがある」
と言われても
「生きてたらあの時死んでたらよかったと思うくらいの悪いことがある」
ということも考えられるでしょう。
結局未来のことはわからないんだ。

自殺を止める理由も千差万別でしょう。
生命の肯定感を普遍的なものにしたい気持ちもわかる。
だって自分の命の価値も脅かされるもの。

「あなたが生きててくれたらうれしい」
それも事情の押し付けだ。
本当に辛い時はそんなことも耳に入らなかったりする。

でも
本当に本当に辛い時に
誰かにとってどうでもいいことが
その人にとってかけがえのない事だったり
これから先、生きていけるぐらいの希望を持たせたりするんだ。
個人的な問題だからこそ、そう思えるんだ。

個人的な問題なんだ。
だからこそあなたのことを知りたい。

だからこそ話を聞きたい。
私とあなたは違うけどあなたとどこか似ている。

そんな孤独や絶望感から抜ける術なんて
その人、その人によって違う。
誰にでも生きる希望を持たせるたった一つの方法なんてありはしない。
すべての病気を治癒する万能薬がないのと同じだ。

個人的な問題なんだ。
だから話がしたい。
20/07/02 18:08更新 / 流れる月



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