打ち上げ花火
ここから見たいと歩道橋を
花火のために駆け上がる君を
追いかけていたらつまずいて
小さな体が大きく転んだ
何が起きたかわからずに
かたい地面に倒れた間
「すごい」と叫んだ君だけが
見ていた 何色かの花火
遅れた音だけ聞こえた私
遅れた痛みだけ感じた私
泣き声に気づいて歩道橋を
私のために駆け下りた君を
涙目でじっと見つめる間
「ごめん」と謝る君の背が
見ていた いくつかの花火
振り返ることもなく君は
小さな手を差し伸べてくれた
私をおぶり段差に目をやり
ゆっくり慎重にのぼる間
「きれい」と呟いた私だけが
見ていた 青くにじむ花火
遅れた音だけ聞いていた君
鼻をすすって聞こえない私
泣き止まない時間は長く
はっきり見れたものは少ない
打ち上がっていた時間は短く
一緒に見れたものも少ない
それぞれが見ていた花火
あんな色で こんな形で
空に指で描き合う瞬間
ふたりで顔を見合わせた
ふたりで確かに見えたこと
ふたりで言い合いよろこんだ
ふたりで見たもの またできた
「あっ」と驚いた私たちが
見つけた 白い流れ星
花火のために駆け上がる君を
追いかけていたらつまずいて
小さな体が大きく転んだ
何が起きたかわからずに
かたい地面に倒れた間
「すごい」と叫んだ君だけが
見ていた 何色かの花火
遅れた音だけ聞こえた私
遅れた痛みだけ感じた私
泣き声に気づいて歩道橋を
私のために駆け下りた君を
涙目でじっと見つめる間
「ごめん」と謝る君の背が
見ていた いくつかの花火
振り返ることもなく君は
小さな手を差し伸べてくれた
私をおぶり段差に目をやり
ゆっくり慎重にのぼる間
「きれい」と呟いた私だけが
見ていた 青くにじむ花火
遅れた音だけ聞いていた君
鼻をすすって聞こえない私
泣き止まない時間は長く
はっきり見れたものは少ない
打ち上がっていた時間は短く
一緒に見れたものも少ない
それぞれが見ていた花火
あんな色で こんな形で
空に指で描き合う瞬間
ふたりで顔を見合わせた
ふたりで確かに見えたこと
ふたりで言い合いよろこんだ
ふたりで見たもの またできた
「あっ」と驚いた私たちが
見つけた 白い流れ星