我が道を歩いたつもりが
清書を更になぞっただけ
我が道を築いたつもりが
清書を上から汚しただけ
踏みしめたのは真っ新じゃなく
数多の足跡 けもの道

自我で育てた木から実った
果実を振り落としてみれば
既に誰かにかじられた跡
先に誰かが知っていた味

自我の底から掘り当てた
「これは名もなき原石」と
高らかな声で見せていたら
「それは名だたる宝石」と
冷ややかな目で教えられた

自分が植えるまでもなく
どこかで芽吹いていた
自分が磨くまでもなく
どこかで光っていた
自分が生まれるまでもなく
どこかで出来上がっていた

筆を投げ捨て持ち替える
轟音で言葉が消えていく
あの木はもう切り倒すから
あの石はもう切り刻むから
この頭を切り落としてくれ