ポエム
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即席羽
飛びたいならお湯に入って
三分間 浸かって待って
生えてきた羽を広げるだけ
半日飛べれば満足だった

曇天の下をノロノロと
高くもないし速くもない
小馬鹿にしてたあいつは今頃
雲より上の空を飛んでいるだろう
本物の羽で羽ばたいているだろう

立派な羽をはなから諦めて
先細る道を歩いていたけど
もう歩ける幅がなくなった

飛ばなきゃいけないようだ
間に合わせの羽なんかでは
渡りきれないほどの距離を

立ち止まる羽目になったのも
何もしなかった自分のせいさ
見上げれば羽根が降り落ちて
誰かが飛ぶ音聞こえるだけさ
即席でしのぎ続けた罰だけが
何もない背中に残っていった
20/08/14 01:24更新 / ぬけあな



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