ポエム
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とんがり屋
入学式 僕の横には
威勢の良いツンツンヘア
腕組み 足組み ボタンも開けて
その髪に相応しい鋭い眼光

まだ名前は知らないけど
聞いてみる勇気などない
決めたあだ名は揺るぎないけど
それを伝えれば命はない

来賓祝辞に大口のあくび
猫背のまま眠りについて
注意をされたら楯突いて
やはりあいつはとんがり屋



卒業式 僕の横には
姿勢の良いツンツンヘア
色々直され正されたけど
その髪は譲らない強い信念

席替えで隣り合ってから
僕らは波長が合っていった
真逆な様でもちゃんと話せば
根っこは同じ家族想いで

おもわずほろり 僕の涙に
冷やかしまくり 赤い目で
親友だって認め合えても
あだ名だけはどうしても
認めてくれない分からず屋

離ればなれになる前に
寒さも白さも楽しんでおこう
空き地の雪上 とけゆくまでは
二人で倒れたバンザイの跡地




成人式 僕の横には
スーツを着こなすシチサンヘア
しばらくぶりに会ったあいつは
その髪と共に成長していた

忙しいけど満ち足りた日々と
近況を語るあいつに対して
暇なのに単位が足りてないと
口が裂けても言えなかった

寝坊すれば遅刻すらせず
学業を怠る僕とは違い
生業に励むあいつは今
何事においても頑張り屋





結婚式 友の横には
ドレスを着飾るロングヘア
真白な階段のぼる歩みに
鼻の奥がツンとくる

トゲトゲしてた性格の割に
スベスベな肌が羨ましくて
だけど歳月は心身を変えて
すっかり丸くなったかわりに
チクチクしそうな青髭生えて
そして最高の晴れ舞台に立つ
主役のあいつが一番羨ましい

大切な人と向かい合う目に
すこしの曇りも尖りもない
ベールをめくって口づけ交わして
照れ笑いしちゃう恥ずかしがり屋

離れないと誓った後は
惜しみない拍手と花びらを
チャペルの式場 鐘が響いて
二人を見送る喝采の嵐


22/01/29 16:02更新 / ぬけあな



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