ポエム
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おばあちゃん
たまにだけ会えるおばあちゃん
優しくてちょっと忘れっぽくて
僕のことちゃんと覚えてて
最初の話しはいつも同じで

「顔はお父さん似だね」
生まれた時から知ってるよ
「身長が高くなったね」
それは会う度に聞いてるよ
だけど別にそんなこと
言わなくてもいいこと
口にするのは「ありがとう」

おばあちゃんの家に行けば
お皿にたくさんのお菓子
おかわり自由のジュース
ぱくぱく お腹いっぱいになって
ごくごく お腹ぱんぱんになって
気がすむまで満足するまで
終わらないお菓子とジュースは
まるで夢のようだった
頬張って食べる僕の姿を
おばあちゃんはにこにこ見てた

テレビが好きなおばあちゃん
棚には新しいレコーダー
再放送が好きなおばあちゃん
録るのは古い時代劇

「この俳優さん懐かしいね」
生まれてないから知らないよ
「あのアニメ録画したからね」
うーんちっとも興味がないよ
だけど別にそんなこと
言わなくてもいいこと
口にするのは「見てみよう」

おばあちゃんの家で見れば
時代劇も見入っちゃって
次回のアニメも気になっちゃって
なんだかんだで夢中になってた
なんだかこれはマジックみたいで
その種はきっとおばあちゃんだ

見終わった後のテーブルには
また山盛りに積まれたお菓子
なみなみと注がれたジュース
思わぬことに僕は凍りつく
おばあちゃんの大サービス

「今は食べ盛りだもんね」
えっもうお腹はいっぱいだよ
「遠慮しなくていいからね」
これじゃおねしょしそうだよ
だけど別にそんなこと
言わなくてもいいのかな・・・いや
言ったほうがいいような・・・でも
口にするのはお菓子とジュース

更にお皿にたくさんのお菓子
おかわり自動のジュース
気がすんでも満足しても
終わらないお菓子とジュースは
まるで悪夢のようだった
頑張って食べる僕の勇姿を
おばあちゃんはにこにこ見てた
22/01/05 21:13更新 / ぬけあな



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