ポエム
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身に付けたものひとつずつ 脱いで 外して
今日が悲しくても僕を独りにしない場所へ
素肌を見せない厚着の体は
生まれたままへと近づいていく

身に付いたことひとつずつ 思い返せば
正しかったのか 疑う衣に心は包まれて
脱がそうとするほど厚着の心は
余計に何か纏っていく気がする

本当に何も着ていないのかな?
自信はないけどタイルに足をつける
心の位置は胸の中なのかな?
言い切れないけど湯船に肩まで浸かる

人の多さや この温かさは
悲しい日でも心地よくしてくれる
独りの寂しさも 凍えた冷たさも
じんわり僕から抜け出してくれる

一体何を疑っていたんだろう?
つまらないことのように思える
心の位置は人それぞれだろう!
言い切った勢いで湯船を上がる

身に付けるものひとつずつ 履いて 羽織って
明日がどんな日でも涙と汗は流せるように
コーヒー牛乳を楽しみにしながら
生まれたままから遠ざかっていく

心は一糸も感じていない
がんじがらめにしていた衣は
脱げたのか 外れたのか
温度で溶けていったのか

気のせいでも別にいい
悲しくても頑張れると思える
湯のせいなら尚更いい
勇気の効能があったと思える

身に付けた強さ抱きしめて この力が
冷え切ってしまわないように
温もりを守る厚着の体で
帰るべき家へと歩いていく
21/11/12 03:52更新 / ぬけあな



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