ポエム
[TOP]
【腕時計】

君のスラッと伸びた腕に、
私はいつもしがみついている。

私と違って君は
みんなの人気者だから、
少しでも気を緩めてしまえば
離れてしまいそうで…。

君はいつも私が知らない世界へと
連れ出してくれる。

そこは暑くて寒くて、
明るくて暗くて、
綺麗で汚い場所だった。

そんな対象的な世界は、
私に記録を詰め込む代わりに
少しの傷をつけた。

君を知れば知るほど、
君が少しずつ
遠い存在になっていくようで…。

そんな私が弱ってきたら、
君はネジを回すように
励ましてくれる。

私は顔色ばかりを伺って、
心をチクタクと動揺させている。

これは未来へのカウントアップ?
それとも
終わりへのカウントダウン?

私はいつも
君を頼ってしまうけれど、
私は何か君に返せているかな?
君の重荷になっていないかな?
邪魔をしていないかな?

鼓動が高ぶって
君のリズムを崩さないように、
いつ君がふり返っても
いつもの私であれるように、
君の1日を繋いでみせるから、
もう少しそばにいさせて…。

生きている今も、いつかは
思い出になってしまうから、
今を頑張らないと
素敵な思い出は造れないでしょ?

そして今日も君が心のネジを回す。

今気づいた、
あなたに動かされていることを。

いい匂いのするハンカチで
私の顔を拭って、
君が私を見つめる。

そうだ。

四角いショーケースの
端に並べられて、
窓の外をずっと眺めていた私に
声をかけてくれた、君の笑顔だ。
20/01/06 11:11更新 / 黒猫大和



談話室



■作者メッセージ
女の子目線の【友情】を
テーマに書きました。

主人公が女性物の腕時計、
それをつける女の子が友人です。

お出かけしている様子、
教室での様子、
そんなものを思い浮かべながら
読んでもらえると嬉しいです。

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c