ポエム
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【ギター】

ある日あなたは突然言った、
「見せたい景色があるんだ。」と。

いつも服選びに苦戦して、
待ち合わせギリギリに滑り込む私の乱れた髪を、
チューニングして整えてくれる優しいあなた。

少しいたずらめに私のほっぺを指で弾いて、
微笑むあなたが始めるの。

あなたの指が私の指にそっと絡まる…、
それだけで想いが波に乗って、
今日という五線紙に張り付いていく。

温もりが少しずつ奥まで伝わってくる…。

精一杯あなたを感じようとする私も、
あなたはお見通しなのだ。

「お前は本当に分かりやすいな」と言うけれど、
それは褒めてるの?けなしてるの?

図星をつかれてふくれる私に
あなたがテンポを変える。敵わないなぁ。

あなたは心をすぐに読んでしまうから、
私は身体を震わせることしかできないくらい居心地がいいの
…、ねえ、聞いてる?

私が好きなあなたの声と、
あなたが好きな私の声の波長を合わせて
たくさんのコードを作ろう。

たとえすれ違いの時も、
今までの2人を忘れることがないように。

私が好きなあなたの笑顔と、
あなたが好きな私の笑顔で
たくさんの歌を歌おう。

これからの2人の未来を
明るく照らすように。

ふと我にかえる私に
「どう?きれいな景色だろ?」と、あなたが言う。
…ごめん、あなたしか見てなかったや…。
20/01/06 11:02更新 / 黒猫大和



談話室



■作者メッセージ
女の子目線です。デートのワンシーンです。
ギター本体が女の子、それを演奏する男の子という設定で書いています。
夜景とライブ、両方の視点で楽しんでいただけるかと思います。

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