ポエム
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トムソーヤーの自転車
隣の家から流れてくるチェロがうるさくて、馬を飼い始めた。前の彼氏にもらったマフラーをまだ捨てずに使っているんです。兄妹の中でわたしだけ父親が違う。

炭坑夫のように夢をみていた。大人たちは今の時間は永遠じゃないとわたしたちをさんざん脅し、取り上げた。管理してあげるだとか云々。
それならいっそのこと、何もしない。恥じらいって言葉を作った奴を締め上げたい気持ちを徹底的に押さえつつ、何もしない。それが素敵な夜にならなくても、何もしない。
もしわたしたちがボトルシップだったら。

戦争は起きなかった?ああ、それを信じて何かを変えようなんて微塵もないよ。ちんけな明日を俯瞰で見下ろして、昨日ばかりに自分の理想像を磔にするほど、わたしは暇じゃない。けど自己嫌悪で死にそうで、それが1番価値のある死に方のような気もする。ヴェルサイユ条約下のドイツみたいな朝。

そして透明な帰り道。不純物は世界の方。

よく嘘泣きをするわたしの肌。歩幅を合わせて歩く前の恋人たちに夢はない。でもわたしはその後に付いていくしか前に進めない。(でもそれは悪いことなの?)
拒食症で亡くなっていったモデルたちについて調べ、決して名前を忘れたくないと思ったのはもう何年前だろうか?
1人の子の写真を保存していた。その時ですらわたしより年下だった。もちろんもう残ってない。消したから。痩せた体、なのにその目はどこまでも自分を信じ続けられる意志表示。死んでしまったんだ。わたしが思い出すたびに、この先も死んでしまうんだ。

このまま夜が明ける必要も無いことを証明しようとわたしは手を尽くした。ボロボロになった手には、もっとボロボロになれた可能性が詰まっているけれど、とりあえず諦めた。
明日のわたしたちはもう別人。だから記憶も無くしてしまう。失敗したんだ、羊水と香水の混じった匂いに言い訳を重ねても。
22/01/07 00:05更新 / Laurie Birds



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