僕はこの世界の観測者
ずっとこのくすんだフィルターで
何色かも分からない景色を見てきた
ただそれだけ

僕はこの世界の来訪者
孤独に腐りきった劣情を抱き
声にならない叫びを歌っていた
ただそれだけ

僕はこの世界の従事者
ぐっと堪えた嫉妬に塗れた
言葉の居所を失っていた
ただそれだけ

空に轟く詩を包む心を汚した者
大海をも超える絵を描く手を捨てた者
正義を説く声すらも自ら壊した者

画面越しの世界を眺め過ぎ行く時に流された
ただそれだけの者