小鳥たち
七月も小暑を過ぎた頃
私はある葬式に赴いた
都会の喧騒をしばし逃れ
迷路めいた小路を抜け
辿り着いたその先
そこは、迷宮?
閑雅な室に佇むは
漆黒の衣服を纏った老大公紀
棺桶に横たわり、黙して語らない彼女に
天の光と見紛うばかりの眩い日の光が射し
未だ生きていると錯覚する頬の温かさを与える
彼女の側に寄り添うは
彼女が生み出した小鳥たち
老大公紀の側にいる一羽は、いつかの川遊びの折
彼女に寄り縋り、生ける髪飾りと化した一羽だろうか
侍女たる彼女らは主無き今、今後の去就を測りかねている
執り行われる、厳かな、静かな葬式
まるでこの時間、この空間が丸ごと
凍り付いてしまったかのような静寂
だがいつか、老大公紀は荼毘に付され
小鳥たちは散り散りになり
全て無に帰すのだろう
だが、今だけは
この静寂を永遠に留めたい
やがて時が過ぎ去っても、この空間に
彼女らの残像を、幻覚の如く固着させられるよう
これは、名も無き詩人が吟じた
何の教訓を含まない、とある葬式の記憶
私はある葬式に赴いた
都会の喧騒をしばし逃れ
迷路めいた小路を抜け
辿り着いたその先
そこは、迷宮?
閑雅な室に佇むは
漆黒の衣服を纏った老大公紀
棺桶に横たわり、黙して語らない彼女に
天の光と見紛うばかりの眩い日の光が射し
未だ生きていると錯覚する頬の温かさを与える
彼女の側に寄り添うは
彼女が生み出した小鳥たち
老大公紀の側にいる一羽は、いつかの川遊びの折
彼女に寄り縋り、生ける髪飾りと化した一羽だろうか
侍女たる彼女らは主無き今、今後の去就を測りかねている
執り行われる、厳かな、静かな葬式
まるでこの時間、この空間が丸ごと
凍り付いてしまったかのような静寂
だがいつか、老大公紀は荼毘に付され
小鳥たちは散り散りになり
全て無に帰すのだろう
だが、今だけは
この静寂を永遠に留めたい
やがて時が過ぎ去っても、この空間に
彼女らの残像を、幻覚の如く固着させられるよう
これは、名も無き詩人が吟じた
何の教訓を含まない、とある葬式の記憶