龍涎香
海岸に打ち上げられた龍涎香
ある朝海岸を歩いていた
若者の手に収まる
これは死の結晶
鯨に呑み込まれた
幾多の有機物の、死の証
鼻を近付けると、
仄かに香ばしい香り
これが死の匂いならば
何て蠱惑的な匂いだろう!
鯨の作りだす芸術に慄然とする
若者は、私たちの死を想う
死ぬ時に、こんな物を残せたら
どんなに気持ちよく逝けるだろう
鯨の作りだす芸術に譲らぬ一品を!
海の彼方、陽炎の向こうに
高い水しぶきが一つ、上がった
笑いさざめく、鯨の勝鬨かもしれぬ
ある朝海岸を歩いていた
若者の手に収まる
これは死の結晶
鯨に呑み込まれた
幾多の有機物の、死の証
鼻を近付けると、
仄かに香ばしい香り
これが死の匂いならば
何て蠱惑的な匂いだろう!
鯨の作りだす芸術に慄然とする
若者は、私たちの死を想う
死ぬ時に、こんな物を残せたら
どんなに気持ちよく逝けるだろう
鯨の作りだす芸術に譲らぬ一品を!
海の彼方、陽炎の向こうに
高い水しぶきが一つ、上がった
笑いさざめく、鯨の勝鬨かもしれぬ