免許証を見ないと　自分が誰かも　たまに忘れてしまいそうになる


同じフォルム　同じペース　同じ空間の　周回ゲームが「LIFE」らしいから


些細な違いを個性とあがめても　摂取と排泄　死亡と交尾


アメーバの時から生きる目的は　生きるそれ自体に帰結していた




じゃあ、なんで悲しいんだろう　記憶なんてどうでもいい筈なのに


じゃあ、なんで嬉しいんだろう　似た思考が通ったくらいのことで


雪にしも焼けたその痛みだけが　どうしょうもなく「自己」を意識させた



フェイクのCOACHとフェイクの言葉　一夜の暖も醒めて虚しくて


フェイクのレザーにフェイクの関係　着飾ったって心は寒いね


目に見えない倫理観よりも　即席の快楽が好かれる時代


嫌がるフリはしなくてもいいよ　傷をなめ合う　we`re NO ID

■作者メッセージ
アイデンティティ迷子の冬