ポエム
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夜空に映える提灯
流れる夏祭りの放送を
イヤホンで蓋して逃げ帰る
晩夏、とは到底思えない
猛暑の九月
僕はそこでも孤独だった

周りに碌な大人はいなかった
担任だとか
親だとか
頻繁に接する大人は
みんな自分勝手だ
僕に原因があるとも
思ってしまうほどに
それほどに
異常だった

初めは楽しかった
エントリーシートの添削も
日に日に重く
鉛が肺を満たすように
僕の息を詰まらせた
夏のじめじめとした光と
受験への病的なまでの恐怖が
僕という生物を侵し尽くす
僕は僕を保てなくなる
志望理由欄に書いた本音が
本音なのか判別できないほどに
気が狂った
背を向けて逃げ出したかった
でも、
逃げ方も
逃げて良いのかどうかも

疾うに忘れちゃった
25/09/03 00:36更新 / 細言

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