七月の沼 盆に寄せて
梅雨のたまりみずだろうか
私のなかにある
ぬるみやすい小さい沼
雨上がりの眩しい陽ざしに
まるめ込んでいたものを
引きずりだしては
白く晒して素手で洗う
ささいな染みまで気になる病に耐えて
ほのぐらい部屋に戻れば
香をたくこと
お供えをするということはせず
ガラスの小鉢に
浅漬けのなす きうり
飲み残しの麦茶もそのままに
しだらなく 椅子にもたれて
言いたかったこと
言わなかったこと を
くりかえし
鮮やかだったことがらは
すっかり褪せてしまったようなのに
抜けきれない染みのようなものを
ああ きっと
あのひとも言わないことがあったのだろうと
逝ってしまったひとの分までひきうけて
まだらになった内側は陽にさらさずに
うっとりと
しろっぽい指先で
沼のあたりに風を追い
また生まれ変わるつもりになっている
私のなかにある
ぬるみやすい小さい沼
雨上がりの眩しい陽ざしに
まるめ込んでいたものを
引きずりだしては
白く晒して素手で洗う
ささいな染みまで気になる病に耐えて
ほのぐらい部屋に戻れば
香をたくこと
お供えをするということはせず
ガラスの小鉢に
浅漬けのなす きうり
飲み残しの麦茶もそのままに
しだらなく 椅子にもたれて
言いたかったこと
言わなかったこと を
くりかえし
鮮やかだったことがらは
すっかり褪せてしまったようなのに
抜けきれない染みのようなものを
ああ きっと
あのひとも言わないことがあったのだろうと
逝ってしまったひとの分までひきうけて
まだらになった内側は陽にさらさずに
うっとりと
しろっぽい指先で
沼のあたりに風を追い
また生まれ変わるつもりになっている