金婚
点
ひかりの
点から線へと
ひろがっていく
散らばる細かな粒子
線から面へ 点から波へ
面が揺らぎだす うちよせる
記憶の波 朝はやさしく来て
わたしをひとにもどす 遠くに鐘の音
起きてしまえばもう鳴りやんでいて
それで君は
夜のあいだ
何だったの?
ん たぶん
さかな
手も足もないようだった
ゆるやかな流れにも
方向をきめてしまう
それ以上は柔軟になりきれない
芯のようなものを感じていて
あれは脊椎と
いうのだったね
ときどき藻がからんでいたようで
水といっしょに
におうのよ
砂糖はいらない
ミルクを廻してくささい
あなたは
何だったの?
ヒト
僕は夢を見ていた
君と
出会ってもいただろう
たくさんのひとと
出会っては挨拶をかわした
すでに一度は会ったはずの人たちなのだろうに
起きてみると誰の顔も覚えていない
ああ コーヒーはもういい
必要ならば思い出すこともあるだろう
鐘の響きが残っている
さかなでいると
誰とも会わないさびしくもない
起きるたびにあなたにいつも会うのを
同じような街の同じような家にいるのを
不思議に感じて
それでもいつのまにか
あたりまえのようなこと は 慕わしく
朽ちたもの も 消えたもの も
いずれ朽ちて消えるもの も
慕わしい
あの鉢は枯れてしまうわね
パン屑を雀にあげましょうか
教会でもできたのかしら
鐘の音がきこえるようで いつからかしら
あの音をきくと なにか
思い出さなくてはいけないようで
くりかえし
くりかえしひとにもどり
同じような日々をむかえ
必要ならば思い出せるから
と あなたは言うのね
食器を片付けながら
ふと手が止まる
必要ならば思い出す
そんなことも
あるのかしらね
ひかりの
点から線へと
ひろがっていく
散らばる細かな粒子
線から面へ 点から波へ
面が揺らぎだす うちよせる
記憶の波 朝はやさしく来て
わたしをひとにもどす 遠くに鐘の音
起きてしまえばもう鳴りやんでいて
それで君は
夜のあいだ
何だったの?
ん たぶん
さかな
手も足もないようだった
ゆるやかな流れにも
方向をきめてしまう
それ以上は柔軟になりきれない
芯のようなものを感じていて
あれは脊椎と
いうのだったね
ときどき藻がからんでいたようで
水といっしょに
におうのよ
砂糖はいらない
ミルクを廻してくささい
あなたは
何だったの?
ヒト
僕は夢を見ていた
君と
出会ってもいただろう
たくさんのひとと
出会っては挨拶をかわした
すでに一度は会ったはずの人たちなのだろうに
起きてみると誰の顔も覚えていない
ああ コーヒーはもういい
必要ならば思い出すこともあるだろう
鐘の響きが残っている
さかなでいると
誰とも会わないさびしくもない
起きるたびにあなたにいつも会うのを
同じような街の同じような家にいるのを
不思議に感じて
それでもいつのまにか
あたりまえのようなこと は 慕わしく
朽ちたもの も 消えたもの も
いずれ朽ちて消えるもの も
慕わしい
あの鉢は枯れてしまうわね
パン屑を雀にあげましょうか
教会でもできたのかしら
鐘の音がきこえるようで いつからかしら
あの音をきくと なにか
思い出さなくてはいけないようで
くりかえし
くりかえしひとにもどり
同じような日々をむかえ
必要ならば思い出せるから
と あなたは言うのね
食器を片付けながら
ふと手が止まる
必要ならば思い出す
そんなことも
あるのかしらね