ポエム
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遊動円木
お神酒をさして
高いところに
ひとつばかり 満月
きょうは
わたしが肩をもんであげる
背中に馬乗りになると
ルージンは
でくのぼうになって
とてもいい気持ち
もみほぐすと
あれもこれも
ゆらゆらと
考えなしのままですこしこわいのが
つちふまずから
くすぐったく登ってきて

ほら ねえ
まんづきだよ
目をつぶると
ひとのなかにも入ってくる
夜の空
おいで おいで
月が三つ はねている
いい夢と悪い夢
わかっていることいないこと
満ちているもの欠けるもの
そのあいだをいききする
ささやかな振幅
とてもささやかな

それでもまだ
右と左の釣合が悪いのは
欲の深いところにひっかかるせいでしょう
慣れた道行にも
どこか緊張が抜けなくて
太くなっていく首まわりとか
つい力をこめてしまったり
弾力の失せた応答の
つぼをさぐりあてるとしがみつく
悪い癖
そこはそれ
ルージンとわたしのあいだのことだもの
いくつめの月の揺り返し?
かるいめまいに
うっとりとして
21/04/10 17:56更新 / Sayori



談話室



■作者メッセージ
「浜辺にて」からの連作です。遊動円木は今はあまり公園にありませんが。

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