蛇行の周辺 4
4 彼岸
身の軽いときは
向こう岸へ飛ぶこともできるという
あなたはいつでも身が軽い
いったきりだと思っていたのに
気が向くともどってきて
草の蔭にもわたしを見つける
羽のない細い腕で
はばたこうとする無様さも
低い方へ低い方へ降りていきたい
下目づかいの気弱さもそのままに
一歩一歩 階段を登ろうとしているのに
そのときどきに
気まぐれに
呼んだのは
きみの方だよ と
携帯用の止り木を
ついと宙にかけ
ぶらんこのように揺らしている
風になぶられているすこし気取った顔が
半分くらいも消えかけているのを
気がつかないふりで
おだやかな口調をくずさずに
よしなしごとを語りかけながら
手元の草を結んでは
罠をつくって過ごした
身の軽いときは
向こう岸へ飛ぶこともできるという
あなたはいつでも身が軽い
いったきりだと思っていたのに
気が向くともどってきて
草の蔭にもわたしを見つける
羽のない細い腕で
はばたこうとする無様さも
低い方へ低い方へ降りていきたい
下目づかいの気弱さもそのままに
一歩一歩 階段を登ろうとしているのに
そのときどきに
気まぐれに
呼んだのは
きみの方だよ と
携帯用の止り木を
ついと宙にかけ
ぶらんこのように揺らしている
風になぶられているすこし気取った顔が
半分くらいも消えかけているのを
気がつかないふりで
おだやかな口調をくずさずに
よしなしごとを語りかけながら
手元の草を結んでは
罠をつくって過ごした