ポエム
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蛇行の周辺  4
    4 彼岸


身の軽いときは
向こう岸へ飛ぶこともできるという

あなたはいつでも身が軽い
いったきりだと思っていたのに
気が向くともどってきて
草の蔭にもわたしを見つける

羽のない細い腕で
はばたこうとする無様さも
低い方へ低い方へ降りていきたい
下目づかいの気弱さもそのままに
一歩一歩 階段を登ろうとしているのに
そのときどきに
気まぐれに

呼んだのは
きみの方だよ と

携帯用の止り木を
ついと宙にかけ
ぶらんこのように揺らしている
風になぶられているすこし気取った顔が
半分くらいも消えかけているのを
気がつかないふりで
おだやかな口調をくずさずに
よしなしごとを語りかけながら
手元の草を結んでは
罠をつくって過ごした

21/03/15 20:16更新 / Sayori



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