蛇行の周辺 3
3 河に沿って
河に沿って歩いている
すこしずつ向こう岸が遠ざかる
いつかは海に出るのだろう
末広がりに降るひかりに
傘つきの舟で下るひとの
顔がまあるい
まばたきすれば
なつかしさだけ残して
光に還る のんびりしたお顔だ
岩の上には長い耳がたたずんでいる
釣り糸をたらしたまま
さかなのおしゃべりを聴いている
さかなはとてもおしゃべり
さかなでなければもっとおしゃべり
海に出たらなにもかも忘れてしまいそうだから
いまのうちにできるだけ聴いておこう
聴きのかしたことについては
気にしたり
しなかったり
向こう岸が遠ざかる
吹きすぎてから
風が悔いている
速すぎるとか
遅すぎるとか
海への距離を
わたしは 知らない
河に沿って歩いている
すこしずつ向こう岸が遠ざかる
いつかは海に出るのだろう
末広がりに降るひかりに
傘つきの舟で下るひとの
顔がまあるい
まばたきすれば
なつかしさだけ残して
光に還る のんびりしたお顔だ
岩の上には長い耳がたたずんでいる
釣り糸をたらしたまま
さかなのおしゃべりを聴いている
さかなはとてもおしゃべり
さかなでなければもっとおしゃべり
海に出たらなにもかも忘れてしまいそうだから
いまのうちにできるだけ聴いておこう
聴きのかしたことについては
気にしたり
しなかったり
向こう岸が遠ざかる
吹きすぎてから
風が悔いている
速すぎるとか
遅すぎるとか
海への距離を
わたしは 知らない