ポエム
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想い(コエ)
極めて小さくてひっそりと片隅に潜在(せんざい)していた不安

それが月日が経つにつれて徐々に肥大化していき 気付けばドス黒い黒雲となって己の内を隙間なく覆っている

黒雲の雲中では常に重く冷たい雨が止むことなく降り続け 内に煌々と灯っていた生力という灯火をことごとく消し去っていく

そして生力を失った心は荒れる

もうどうにもならない、
とネガティブになり

もうどうでもいいや、
と自暴自棄になり

……もう楽になりたい、
と生きることを放棄しようとする

放棄する

その甘美で魅力的な誘惑に惹かれるたび 内の底からコエが聞こえる

『嫌だ!』と
『負けたくない!』と
『こんなので終わりにしたくない!』と
悲痛な『想い(コエ)』が

それを聞き 再び内に生力という灯火を灯すが すぐに雨に消されてしまう

灯しては消され 灯しては消され 灯しては消され 灯しては消される

『まだやれる!』
『諦めるにはまだ早い!』
『もう少しだけ頑張ってくれ!』

また『想い(コエ)』が聞こえる

灯しては消され 灯しては消され 灯しては消され 灯しては消される

同じことの繰り返し

こんなことをし続けることになんの意味もないのかもしれない

けど意味などあろうがなかろうがもうどうでもいい

今はただ

『自分の可能性を信じて!』
『キミは無能なんかじゃ絶対にない!』
『お前はお前が思っている以上に凄い奴なんだぞ!』

こちらへ懸命になって声援を送ってくれるこの『想い(コエ)』に応えてやりたい

応えてやれる自信はさほどないけども それでもこの世界で自分だけにしか聞こえないこの『想い(コエ)』だけは真摯に向き合いたい

25/05/24 13:15更新 / まだら雲



談話室

■作者メッセージ
誰しもが聞いたことのある『想い(コエ)』を題材にしてみました

読んでいただきありがとうございました

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