ポエム
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鉛色
鉛色の世界が残る
打ち捨てて 失って絶えて
いつから此所にいるのか
なんで今も此所にいるのか

例えば一度死んだとして
脱け殻にもう一度
心を芽生えさせたのなら
無意味でも私を想えるのに

サラサラと 煌々と
砂の城を建ち上げて
爛れた温もりに眠れても
夜に寄せた小波と微風に
少しずつ 少しずつ

此処へと拐われていくの

光を射した両目から
色が失われて 姿を見失って
いつまでも此所にいられるか
此処ではない何処かへ至れるか

例えば生まれ変わったとして
今の私が失われた時
零から始め治せたなら
成らんと捨てた自分へ成れるのに

ザラザラと 鬱蒼と
渇きを忘れる深緑で
泥すら愛せるとしたのなら
燻る篝火に手を焚べて
少しずつ 少しずつ

灰と舞うのも悪くないの

そんな風に夢想して
映る景色は変わりない
同じ道を 同じ様に漂うだけ

望み 心の中へ手招いて
やがて此処すら愛へと変わる
浅い渇きも 深く満ちた想い出も
捨てられはしない私の世界
少しずつ 少しずつ

鉛色の美しさを知っていく
21/10/13 18:37更新 /



談話室



■作者メッセージ
危うい迷子の詩

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