ポエム
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靴を履いていてよ
随分と時間が経ったね
だいぶ朧気になってきたんだ
私が覚えているモノも殆ど消えて
今ではアナタがいたことしか思い出せない

耳をくすぐる声が響く
咳き込む仕草を見ていた
其処にいるのに其処にいない
「貴方だけが私の居場所だよ」
愛しむその目が訴えていたこと

揃えられた靴でやっと分かって終う

アナタじゃなかったと思いたい
だってそれが誰か分からなかったから
今でも何処かで元気に生きている
そんな希望を抱きたくなるほど
憎みたくなるほどにその日の空は青かった
アナタはどうかお幸せにと願いながら

アナタは空から落ちていったのかな

随分と時間が経ったね
だいぶ微かになってきたんだ
埋めていたモノを掘り返したけど
もうキミがいたことしか思い出せない

涙混じりの声が響く
寄り添いに少しずつ瞳を開けて
欠けて返ってきた心をまた預けて
「私が貴方の居場所になるよ」
愛しむその目に救われたこと

散らかる靴でまた分かって終う

キミじゃなかったと思いたい
だってそれが誰か分からなかったから
きっと別に好きな人が出来たんだね
そんな空想に救われたくなるほど
恨みたくなるほどその日の空は青かった
初めての今日は何を話そうかな

それがキミの最後の想いだったのかな

「また明日」なんて言わないでくれ
当たり前の今日が怖くなるから

目を閉じて広がる闇に魘されてしまう
夢の中なら素直に言える言葉達も
大人に変わって埋もれてしまう

迂闊に当たり前に使っていた
それが分からないままじゃ駄目なんだ
ただ其処にいて欲しいから

その靴をはいて其処にいて欲しいから

貴女はそうじゃないと思いたい
だってそれが貴女と分かるから
何処でどれだけ汚れていたっていいんだ
幸せの隣に立つのが私じゃなくたって
その言葉と愛の行き先が私じゃなくたって
それだけで私は笑って生きていけるから

生きていてくれればいいんだから ねぇ
21/10/06 16:51更新 /



談話室



■作者メッセージ
今隣にいる人が明日もいるとは限らないよ
人は簡単に死んでしまうから
どれだけ愛していても、守ろうとしても

だからちゃんと抱き締めて、一緒に明日を迎えてください

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