ポエム
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真昼の丘の上で
ぽたぽたと蛇口から垂れる水の音

誰もいなくなった
リビングは
いつもよりヤケに静かだ

落ち着かない昼前に
早めに夕飯の買出しにでる

レジ袋を下げたいつもの
帰り道から

何気なく家とは逆方向を
眺めると

ふと隣町にある小高い丘が
目に入った

買ったばかりの
野菜の重さもいつか忘れ

見慣れぬ道を丘へと歩く

うちの近くと同じような
生垣が続く道でも

やはりどこかよそよそしく

その不安を押し隠すように
私はただ一点
その丘を見つめていた

毎日家から見ていても

徐々に近くなるその丘は
私の心を見透かすように
大きく目の前に聳え立った

胸いっぱいの心の不安を
押し殺すため

やはり私は頂上を
見つめながら丘を登った

重い荷物に早歩きの私は
額ににじむ汗を拭いながら
コンクリートの階段を登る

思ったより短かった階段に
私は驚きながら

初めて訪れた頂上に生える
草木をしげしげと見回した

手すりに沿って歩くと
簡単な展望台があるようで

私はそこに吸い寄せられた

その日は
ほとんど雲のない晴れ間
の天気だった

太陽の光は
暗雲に隠れることなく
降り注ぎ

そこから見下ろせる
街の軒々の屋根を
照らしていた

こんな風に見えるんだあ

これが私たちの
暮らしている街なんだな

初めて見下ろす街の景色を
その一つ一つの家の特徴を
浮かべながら眺める私

でもどうしてだろう

どこまでも晴れ渡る
良い天気なのに

どこか重苦しい陰が
この街全体を覆っていた

日の光を受けた
家の屋根たちからは

もやもや陽炎が立ちのぼり

まるで呼吸を止めたように
佇んでいて

なにかじっとりと
陰気な感じがした

先程まで忘れていた
レジ袋の重さを
どっと肩に感じながら

私はしばらく
そこから街を眺めていた
21/05/21 17:13更新 / あずま社長と呼ばれたい



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