生まれたばかりの自我は鋭角　優しい愛に包まれて
育ち盛りの日々は鋭角　上手くいけずに苛められて
芽生えたばかりの恥は鋭角　過ぎ去る幼児を羨んで
入り口に立つ君は鋭角　聳える山と対峙して

仲間を知る設えは直角　未だ見ぬ人間に期待して
感情を抱く最中は直角　初めての恋を携えて
堆肥に咲く反抗は直角　恩義は感ぜずなお冷えて
真ん中を進む君は直角　山の体を吟味して

大人を歩む内は鈍角　変わる反応に迷子して
分け隔てられし仲は鈍角　生まれながらを意識して
本質を夢見る空は鈍角　有るものの下を慰めて
出口に佇む君は鈍角　見えた未来に怠惰して

路を越える鳴き虫は角　鳴く為の何かを模索して　
拘い花の萼は角　枯れた場所に再帰して
頭心魂の居所は角　地図の外側に表示して
ただ風吹く人生は角　自然の貴重さに化かされて

■作者メッセージ
人生は角です。山脈よりガクガクとしています。