そのひとは優さんと云う
Ｏ型で銀座にあるテイラーの店員をしていた

プレジデントというタイトルはお店の名前で
キャバクラなのである
プレジデントとは大統領という意味で
入店料・サービス料・指名料はそれなりに値が張る
美人勢揃いの店である

話を戻そう
優さんは努めて明るく振る舞うひと
人気のあるコンパニオンで彼女のテーブルはいつも目立って明るかった

例えるなら「アナと雪の女王」に出てくるアナのようなひとだ
僕は本指名をした

このひとは２５歳で処女なんじゃあないの？
と思うくらい純粋だった

でもツンデレなのである
そんな彼女とどう付き合うかを考えていた

相手に合わせればいい

　　　　（中略）

五右衛門でパスタを共に食べ
会話を合わせた
首に抗鬱剤を注射をして働いていると告げられる
「お前も働けよ。」っていう意味とも受け取れるけれど
不動産を処分してお金を持っているのだから違うと思った

そう、優さんから僕の誕生祝いにバーバリーのトランクスを貰った
「これ履いてどこに行けって言うの？」
そう言うと彼女は黙っていた

あと店員さんが日ノ出町でバースデーケーキを買ってきてくれた
ろうそくが１３本刺さっていたので呪いだと感じて即抜いた

「ハッピーバースデー　ツー　ユー」・・・
桃屋のつゆじゃねーんだからトゥーと言いたかったのだけれど
事を伏せて「ありがとう。」と言って家で食べた
いちごのショートケーキまるごと

店からマンションに帰る道で
背中に自転車が突込んで来た　交通事故だ・・・
痛い・・身をかがめた
当てた男は自転車を止め振り向いたのち何事もなかったかのように
走り去った

「愛には敵がいる。」そう思った

優さん、どうか元気でいてください。

■作者メッセージ
このポエムは実話です。僕のポエムは実話が多いです。
優さん、もう５０を過ぎたのかなあ。いや、４８くらい？
でも若いころのイメージって大事です。