ポエム
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あなたは影、影のあなた
私が夏の強い日差しの中を
一人で歩いていると

くっきり鮮明に映し出された私の影が
だんだん何重にも滲んできて
気づいたらあなたがそこにいるのだった
 

影に住み出したあなたは、
例えば花を見かけると、そっとそばに出てきて
何色だとか、花の色から何を連想させるだとか
自分は何色の花が好きだとか
自由に話し出した
私も静かにうなずき、それに答えるのだった

心に残る出来事があると、あなたは
何か優しい言葉を
私に耳打ちするのだった

雨が降ると、影のあなたも一緒に濡れるので
私たちは一緒に童心に帰ってはしゃいだ


空を見ても、草を見ても、
仕事をしていても、
あなたは私の影に住み続けた
あえて別のことを考えようとしても
あなたを忘れようといくら頑張っても

ここが一番居心地が良いのだ!と
まるであなたが言っているようで
影から出て行ってはくれなかった


おかしいな、
影のあなたが強くなり
私に寄り添うほどに、
「あなた」は夢と幻想に歪められ
現実の「あなた」は
どんどん私から遠い存在になっていくのだった



私は孤独だった
胸を灼かれるほどに孤独だった
25/07/23 00:13更新 / らん

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