ポエム
[TOP]
彼女は頭が良くないから
彼女の悲しみは何も言葉を持たなかった
でも底なし沼のように深かった
誰も手が届かず
誰も救うほどができなかった
彼女はその中でただ黙っていた
彼女は自分に宇宙があると思った
でもそれが本当に宇宙なのかがわからなかった
心には彼女の蒼い涙が
ダムのように溜まって溢れ
暗い湖の奥底に耳を澄ますと
確かに咽び泣く声が聞こえてくるんだ
微かに、しかし確かに咽び泣き叫んでいたんだ
彼女の悲しみは誰にも知られなかったし
彼女自身も知ることができなかった
誰にも聞かれずに心の内に秘められていて
言葉も形も伴わないけど
それは本当に悲しみだった
混じり気のないほんものの彼女の悲しみだった
21/12/08 01:29更新 / らん



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c