怖いんだろう
知るのが怖いんだろう
この世がありとあらゆる悪意で満ちていることを
知るのが怖いんだろう
人と人とはお互いを殺しあいたくてしょうがないということを

知るのが怖いんだろう
貴女の両親は前々から貴女を捨てるつもりでいたということを
知るのが怖いんだろう
貴女の兄弟は幼い頃からずっと貴女の死を願い続けていたということを

貴女の女友達は貴女の不幸を心から願っているということを
貴女の男友達は影で貴女をゴミのように笑い物にし見下しているということを

貴女の女上司がいつ貴女を切り捨てようか心待ちにしているということを
貴女の男上司が隙あらば貴女を犯そうとしているということを
貴女の祖父母も、恩師も、昔の先輩も
貴女を殺害する計画をとっくのとうに立てている

病院は貴女をお金儲けの道具にしか思っていなくて
企業は貴女の不安を煽ることで貴女から搾り取ろうとしている
テレビも、ラジオも
貴女が支えにしたあの小説も
貴女の心に不安を巣食わせるために存在していたということ
そして地球の大自然やたくさんの生き物たちは
貴女たち人類を破滅させる機会を刻々と伺っているということを

本当はわかっているんだろう
でも、知るのが怖いんだろう
ただ、知ることが

■作者メッセージ
今から5年ほど前、大学一年ごろに書きました。
色んな意味で印象的だったので載せてみました。
病みすぎです。
思春期と青年期の狭間にある不安、病みだと思います。