ポエム
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私は幽霊
古ぼけた街並みの中に、都市の中に、
自分の名前を探した。
店で売られた新聞に載っているだろうと思ったら、名前はなかった。
市役所を訪ね、住民票を調べた。なかった。
本屋に行ってありとあらゆる図書を見た。
地面に散らばるチラシ、料理店のメニュー、
ありとあらゆる銅像…。
どこにもない、家に帰ろう、家の鍵、家の鍵。

古ぼけた家に帰り
棚のアルバムを探した。
家族が笑う写真がそこにあると思ったら、またもやなかった。
学校の卒業アルバムを探したら、自分の名前はなかったし、
誰からのメッセージも何もなかった。
今まで受け取った手紙を探そうとして、それも何もなかった。
私の名前はどこにもない。
私は消えてしまった。
生きていた証は何もない。
いや、消えてしまったのではなく、
元から消えていたのに自分でも気づいていなかっただけ。

友人なんて、もちろんいない。
私を知る人も、もう誰もいないのだ。

街を抜け出し、
草原の中でしゃがみ込む。
辺り一面ただの葦、葦だらけ。
私は自分を呼ぶ声を探し、耳を澄ませる。
あるはずのない声を待つ。
20/06/16 13:50更新 / らん



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