ポエム
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雨粒

雨を詠みまた雨を詠み雨になる梅雨という名のカフカの変身
椅子すらも見当たらぬぼくらわたしたち寂しき詩で編むノアの方舟
忘れたよ時の洗礼を引き受けしきみの祈りときれいな廃墟
うみのない夜風のまちの人々のうつつは水平線のないうみ
とうめいになっても別にいいんだよ血の通わない君が言うなら
祈り終えさよならをした雨粒のあなたのために歌うよ るらら
言葉には果てがあるのが寂しくてぼくは小鳥が咥えたハモニカ
ひかり浴び色褪せてまた色褪せてもう触れられないとうめいな海
雨乞いを拒みし人への純真な啓示としての梅雨のまにまに
朽ち果てた路傍に佇む傘たちのためにわたしは雨を詠むから
洗われた白いシャツの胸ポケットの底に潜みしまっくろくろすけ
一粒の波紋が丸くて透明でわたしは生きてていいのかな 夏
20/07/12 20:12更新 / あさ



談話室



■作者メッセージ
梅雨の間に詠んだ短歌の連作です。
なぜか雨がよく降る時期というのがあります。
よろしくお願いいたします。

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