ポエム
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酩酊

鳥の音が聞こえた
ばさばさというやさしい音なんていつものことで
今日は誰かの世界が終わったかのような
文字にしにくい叫び声が聞こえた


だれかが酒を飲んでいて酒になってしまったようだ
酒は叫ばない 液体は叫ばない
叫ぶのはいつも現実逃避の類型で
それは人の形をしていることが多いんだ
わたしは人のようなものに詳しいんだよ


わたしたちはいつも寂しくて小声だから
みんなで鳥になって
人にはわからない言葉でしりとりをしようと主張した
人にはわからないから
わたしたちには永遠があるよと信じておしゃべりを続けた


そうだ
そうなんだよ
きっとそうなんだ
みんなが酔っ払って空の瞬く群体になったならば
みんなで現実を高く飛んでいけるの
月のうさぎはみんなアルコールを飲んで
わたしたちを見守っていて
ずいぶん赤いうさぎだなあ、ふふ
そう笑いながらわたしたちは
昏睡しながら淡いピンクの空を駆けるんだ


それが わるいか わるいのか!
わたしたちはとってもいけない
悪い子だったのかなあ…
そうつぶやいて鴉色のカクテルを飲み干した


それでね ついにみんなが黙り
わたしたちを気が狂っているくらい素面の鳥が食べた
わたしたちみんなの、酩酊した世界を喰んだ
世界が終わった時の文字にしにくい叫び声を上げた


そしてわたしたちの空が青春が酩酊が
つまり悪気なき寂しき詩が
いま終わったのです

20/07/08 00:06更新 / あさ



談話室



■作者メッセージ
短歌を最近詠んでいたのですが、散文詩も詠んでみたくて、書いてみました。よろしくお願いいたします。

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