ポエム
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私の神父様
閉鎖病棟に入って
永い永い時が経ちました
すっかり禿げ頭の太鼓腹です
手先など猿より不器用でして
鼻をかむことさえ手こずる始末です

頭が禿げた太鼓腹の器用な猿ども
「ほうほう」「ほうほう」

少々悪食の気がありまして
マグロの目玉などは大好物でした
動物ですか?
動物ならカラスの硝子のような黒い眼に惹かれます

マグロの目玉を食い荒らす硝子の眼のカラスども
「それはそれは」「それはそれは」

昔やってもらった道占いによると
前世は武士だったそうで
杞憂かもしれませんが
切腹が怖いので武士にはなりたくはありませんね

はらわたを真横に裂いた血まみれの武士ども
「さもありなん」「うむ」

・・・腹を割って血を吐き出す思いで語りますが
人を殺したことがあります
幾度も、子供も、赤ん坊も、親兄弟も
みな山に捨てられカラスに眼球を突かれ
腐り切って土に還ったことでしょう・・・
懺悔!懺悔がしたい!
許されたいのです!

猿とカラスと武士ども
「些細なる事。世の常に過ぎない」

あ!ああ!ああー!
孤独じゃない
話を聞いてくれる者が
こんなにもいる
彼らは
私の神父様
17/04/24 19:44更新 / 秋茄子



談話室



■作者メッセージ
懺悔の詩です

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