耳障り時計
目覚まし時計は目を覚ます必要がなくとも
(カチッ)(カチッ)と音を鳴らす。
その音は無慈悲にも
私たちに
時間と言う概念を定着させる。
その音は耳障りで
来るぞ来るぞと言わんばかりに
明日という絶望を押し付けるようである。
(カチッ)(カチッ)
「学校に行きたくない!!」(カチッ)
『会社に行きたくない!!』(カチッ)
「仕事をやめたい!!」(カチッ)
『家にいたい!!』(カチッ)
「外に出たくない!!」(カチッ)
『課題がなくなって欲しい!!』(カチッ)
「補習に行きたくない!!」(カチッ)
「『「『「『「!!!!!!!何もしたくない!!!!!!!」』」』」』」
(カチッ)
(カチッ)(カチッ)
(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)
(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)
(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)(カチッ)
「『「『「『「!!!!!!!!!!!!!うるさい黙れ!!!!!!!!!!!!!!!」』」』」』」
(ガシャ)
目覚まし時計の壊れる音が
大きな空に響き渡った。
「これでもう行かなくていい」
『休めるぞ』
「手も足も口も頭も動かさなくていい」
『ずっと家にいれる』
「太陽を浴びなくてすむ」
『ずっと遊べる』
「補わされるものなんてない」
(((((((ピピピッピピピッピピピッ)))))))
目覚まし時計の音がなる。
逃げられない。(カチッ)