ポエム
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カツオノエボシ
クラゲ

水中をふわふわと漂う、不思議で美しい生物

透明でほとんど水と変わらない生物

キラキラと輝くものもある、実に多種多様な生物

美しいものには 何か があるもので

命も奪いかねない毒針をもっている

幼い私は触れてしまった

目の前に突如として現れた美しいゼラチン質を

私はロザリオか何かに見えた

その生物を無防備な右手で掬い上げようとした

私の右手に激痛が走った

熱いような 電気を流されたかのような

起きた出来事を理解するのにはそう時間はかからなかった

死に物狂いで砂浜へ向かう



その日はもう泳がずウベのカップアイスをベソをかきながら食べていた思い出がある



それ以来私は少し海が怖い

少し前まではプールの反射さえも怖かった

水に浮かぶビニール袋を見ただけで体中が引き攣る

美しいものに触れてしまった

昔は好きだったクラゲも今は悪意の対象となった

トラウマというやつだ

触れなければ今でもクラゲは好きだっただろう

知らなければよかった

惑わされてしまったのか

美しい

間違いない

とても美しい、神話生物だと言われても疑わないだろう

だが

恐ろしい

恐ろしくて仕方がない

あの激痛が

あの細い触手が

私の遺伝子に深い爪痕を残したあの生物が





私をまた魅了する





21/02/16 23:05更新 / 1026



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