ポエム
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クリームプラスチック
日曜日昼下がりの午後
昔から行きたい場所だったから
旧家博物館へ
自分のルーツにもつながる場所
人間として文化的な生活とはなんぞや?
女の子の桃の節句
雛祭りの時期なのに子供がいない
周囲高齢者と少しだけ若い人あり
日本の縮図だ
この国に未来はあるのか

帰り際ドライブ気分で公園に来た
絵に書いたような幸せな家族たち
車の中に残されてひとり
車窓から景色を眺めながらクレープを口に放り込んだ

私ここには来たくなかった

昔から変わらない景色
木の身長だけが伸びたんだ
子どもたちのはしゃぐ声をよそに
また君のことを思い出す
ここはちょうど同じ場所
クレープの生クリームはどんどんプラスチックみたいな無味になっていく

今日は娘の誕生日
みんな戻ってきた
これでいいのだ
日が長くなった
肌寒さはあるが日本晴れ
雲ひとつない晴天のことを日本晴れと言うらしい

つい過去を振り返る癖がある
思い出は美化され
都合の悪いことは忘れられ
フォルダごとに保存される

分かってはいるのだけれど
少しだけ甘えさせて
23/03/06 08:24更新 / 山川森佳



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