揺らぐのは決まって夜
冷たい部屋で死人の振りをする。眼は何も捉えていない。何も見たくはない。
憎悪や劣等の吐瀉物に塗れて、アタシはピクリとも動かない。天井側から身体を暫くの間見つめて、「これで終わり。」と終止符を打った。
納得するまでアタシは自分を刺し続けた。
誰が?─世界が。世界が、あの子が、あの人が!
どうやって?─内側にびっしり生えた剃刀や鋭く尖る槍で、ただひたすらに自己を削り続ける。
心臓を搾ってみた。何も出なかった。
アタシには何も無い。
時計の針は午前3時を回っていた。
アタシは、未だ死体のまま、あなたたちには見えない血溜まりのプールを、ごぶごぶと泳いでいる。