オートマチック
朝 学校に登校するために家を出る
それは早朝 周りには人が少ない時間帯
私はいつも通り
自転車を取りだし
自転車に乗り
自転車を漕いだ
チェーンの音がカチャカチャと鳴る
しかしその音は道を進むにつれ意識からなくなっていく
信号の少ない道 私は右へ曲がった
ハンドルを握っているのかいないのか曖昧な
くっついて離れない両手
力を抜いても勝手に回り続ける
ペダルの上の両足
自由に動くのは両目だけだ
ただただなんともない景色が私の前から後ろへと過ぎ去っていく
赤信号を待っているとき ふと左を向くと
そこにはバスがあった
旅行に来たのであろう外国人を乗せるために
そのバスは止まっている
バスの行き先は知らない
ただ私は
今この自転車を投げ捨てバスに乗ったら
どれだけ世界が広がって見えるのだろうか
と思っていた
幸い私の財布には行って戻ってこれるくらいの金は入っていた
信号が青に変わる
バスは再び出発する
周りの人々が横断歩道を渡るために歩き始める
翼なんてない
自転車のペダルを踏む
右へ曲がった
学校の駐輪場に着く
いつも通りの時間に登校すればいつもこの場所が空いている
私はいつも通り自転車を止めた
自転車を止める場所に困る日があるといいな
私はいつも通りそう思った