ポエム
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 雨上がりは好きだ。


 まだ、雨の滴が残っている風景に、水溜りや、お日様の光。
 なんだか、とっても開放感に包まれるから。
 ウキウキするから。


 決して、あいつが帰って来るからではない。あくまでも、雨上がりが好きだからだ。

 おじいさんから譲り受けた、年代物のベスパのシートに座った私は、バス停のネームプレートを背にしたまま、少し高台になっているその場所で唇を尖らせた。


 別に、この場所に居るのも、この風景が好きで、いつもここから眺めてるからで、特に理由が有るわけではない。

 ただ、あいつが帰って来た時に一番に出逢ってしまうのは、偶然で、それは仕方のないことだ。


 うん、そう。別に、私が待ち望んだ事ではない。


 私は時間を確認する。

 田舎のバスはいい加減なもので、予定の時刻に差し掛かるが、まだその姿すら見えない。

 私はもう一度、バックミラーを覗き込んだ。

 これは、鏡越しの風景が見たいだけで有って、偶然にそこに写った私の前髪が、跳ねているのを、手直しするのは当たり前の行動だ。


 そこで鏡の片隅に虹を見つけた。


 私は振り返り、口を開けたままの間抜けな顔で、しばらくそれを眺める。

「………これは、あいつに教えなくっちゃ」

 思わず、口から出た台詞で我に帰り、言い訳を付けようと考えて居るところに、バスの音が聞こえてくる。

 私は念のため、もう一度だけバックミラーを覗き込んだ。

 あくまでも虹を見るためだ。

 よし、乱れていない、大丈夫のはずだ。



 ………虹がね。
21/11/09 03:03更新 / オトノツバサ



談話室



■作者メッセージ
 ツンデレを書きたい。

 ………。

 ツンデレ?

 ツンツン、デレデレは解ってるんですけど、すごく難しい。


「勘違いしないでよねっ! ただ、虹が好きなだけだかんねっ!」
 の、ツンデレです。

 そうです。解っているのです。
「あっ、あんたの事なんか、全然っ、いっ、意識なんかしてないんだからね!」

 の、ツンデレです。


 何だろ? ただの素直になれない子になってしまう。

 いつか、本当のツンデレが書きたいな。


 なんだ? この文章。

 では、また、たまに来ます。

 

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