ポエム
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雨音
 雨の音が聞こえる。

 強い雨ではない。夕暮れ時の通り雨。

 雨が、地面をたたく音。
 雨どいを伝う音。
 遠くで、雷が静かになる音。

 そんな音たちは嫌いではない。

 どちらかと言うと、好きな分類に入るだろう。


 わたしは、読みかけの物語に栞を差し込み、坂の上にある部屋の窓から、その風景を眺めていた。

 静かに雨にたたずむ街並み。

 店の軒先で雨宿りをしている女性。
 鞄をかさ代わりにして、走っているサラリーマン。
 あきらめ、ずぶ濡れの開き直った若者。

 誰も彼もが迷惑そうにしている。


 だから言ってあげた。

「わたしは………好きだよ」

 雨音も、雨に濡れた街角も。

 そして、雨の止んだ後の、虹の姿も。
21/05/13 02:24更新 / オトノツバサ



談話室



■作者メッセージ
 個人的に雨は嫌いかもです。
 こんなおおらかな気持ちには、なかなかなれない。

 でも、坂の多い街は好きだなー。
 そんな所に住みたいです。

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