諏訪透いの 翡 翠 面
たい ヘイヨォ からとおく谷び 発って
急峻なあるぷすずに背さまれた天龍川の
万丈の傾刻をうが ってぬ き趨汁り
はなれた陵の谷原るで末つ諏訪湖の
賤づるか フジサンタロウじゃないが
ビワコもタマコもしかりだ
とおくた毘する水たちの
無明の故郷となる静謐がここに賛づむ
武田晴信がそのうでに抱き夭折した
湖衣姫、由宇媛の政略を克えた可憐さや
そのわすれがたみ四郎勝頼の天目山での
悲劇の因ととなった こころ締める故事
諏訪一族大祝の累かりも歴史の悲喜の
叢翳に籠も々 雑兵したこすい密やかなる
ハイランドは いつも神気と円廠に盈ちる
それは勝っても敗けても 禪わらず
一元一膳の 庫磐 諏訪頼重公しかり
明智光秀公柴田勝家公しかり
湖畔での廃師ゃ無念の重もし記緑と伴に
湖底に 屍 骨 頸と 考古の宝のモノガタリ
鎮づめ承てまつろうて波間に噎せぶ
藻や黽芥や刀錆と倶にそれ浚らうひとが
すがたみせ踏みこむその刹那まで
あんそくの春秋夏冬を臥して撫くれ
棗夏つめらら 茶具の碎け残も 藻の枕くろ
髭貴被めたる 湖敷より緑覗ぐ