エ ガ ウ ダ ~インノセントパイロット~
おれは部品だ 畳敷きの
滅靴の最ぉくピットにあぐらをかき
敵節なコマンドを執務するだけの
人介的媒体だ 戦士だなんて称号は
烏滸がましい 痰んなる畳用務員だ ペッ!
そこには固有の意志判断の余地はない
状況に応じ趣味で冷凍舗存訓練された
反応だけに従い蠢動する 少しだけ
手の混んだ神経桶たるおれ 半分は腐ってる
あの日まではそう信じて唄たがわなかった
だが敵国から逃げてきた滅亡一族族長の娘
『媛め』と遭遇し不覚で瑕を負った鏡面を
すくわれたときからおれの可能性は掬われ
どこかの化膿傷のように痛みを感じはじめ
媛めを庇るという希望が芽生えてしまった
おれはキカイブヒンからヒウマンへと転落
し成り下がってしまった
機械文明体司令塔にとっては特級ベースの
排斥項目スタシオンだっただろうな ケケケ
おれはかつて臭い匂いだけする端末で目的
完遂のための結束点の一つに過ぎなかった
今は自身の采配で便もだすし 餌のも窃取する
不浄で不潔な肉躯K
既成に疑問を鳴げるという芸すら知った
おれは変節した これは自己の存在理由に
対する叛旗なのか裏切りなのかもしれない
しかし媛めとの出逢いは事故にしたくない
しかるべき潮目の遷わるタイミングなのだ
かつての同僚たちからミサイルや砲弾の
贈り物があまたダイブしてくるフィナアレ
本日はさながら雨天 荒れ模様の戦候らしい
おれはまとった鋼鐵の装甲を豪放に晒して
ナマミのまま拠ん所ない媛めの盾となり
局面を謳歌削ぎ閻く 点くる滅くる閃き肉迫
無謀ではない
このタァンで硝煙たちの藻屑となるCパァト
であっても物語はすっきり完結し後腐れない
媛めを荒野端の『駅舎』に配達しホロッコに
乗せて『地球』のポォトに逃せばおれの勝ち
思残し無いうえ 後進兵への良いデータ取り
ができて任務が一巻する フフンだ
矯聲あげてた気儘な観客どもは瞼を擡たげて
奴等の日常へ降りてゆく まァ そぅだ
お巫山戯な 芝居小舎の一つ