ポエム
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零時に鳴り響く出発ちのバラード


トレーダー分岐点ターミナルから
れっしゃがたびだつ
汽笛なった ぽっぽー (ぽっぽー)
がたごとがたごと だしゃだしゃん
おや 今宵の旅路では零士さんも
乗ってるんだね どうです車室は
だい功績あげたおとうさん
このひとのみはてぬ夢から
沁宇宙への造詣ははじまった
セクサセクサな大美人も
めくるめく過去の少年らを癒し
捲ったっけ
たくさんの胯間のモツもたいへん
お世話になったっけ
黒鐵は惑星や剥製 鑑海のあいだ
をぬけて奔しりすべり
主砲聳える軍艦はおおぞらで
大帝らあいてに軍功をなし
つきがちきゅうと交かりあったり
燃える女達とサーベル交錯したり
ニューギニア島の峯にダイブした
漢たちもいた 拭われた泪とか
滲みだしたちしおの川ははてしなく
そしてこんなにも
なつかしい
なにもかもなつかしくなった
安孫子さんも水島新司氏も
みんなみんな手をふって
跨いでいってしまった襖の敷居
ほら 茜から蒼に変わる途中の
気象地上 そらからみれたかな?
さあ ありがとう
ありがとう
四畳半のサルマタ怪人も
きのこのはえたパンツも
きみょうな昆虫じんたちも
瞳のきらきらしたヒモネスも
みーんな21世紀後半に顕われる
おつぎの文化媒体の若聖に
継なぎ渡たそう
仲介するのは両の時代に両足かけて
まだ生き恥曝して視聴し憶えている
ぼくたちだけ
おつぎに降臨する21世紀末までの
巨匠がきっとぜんぶ22世紀の
新文化の肥やしにしてくれるだろう

さあ 上映の幕合いはここまでだ

さあまた コミックの匠がひとり
伝説(カミサマ)に昇華して人生の
直後の始発ホームから出発ちだ!
そこはもう終着駅じゃない
人生はけっして引き込み線だけの
どん詰まりじゃない
ほか次元の見えなかったリフトが
やっと壇てくる瞬間だよ
ほら カムパネルラたちもすぐそこ
まで迎にきてくれてるよ
ヂョバンニのぼくはまた見送りだけ
だけど
みたみれたいろんなことをぼくは
忘れはしない
こんな時代に湧き出してくることは
めったにないんだから
奇縁なんだから


23/02/21 15:12更新 / OTOMEDA



談話室



■作者メッセージ
松本零士さん追悼。けっこういろんな作品をいまだに憶えています。

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